わたしには分からない。ボブ・サップが良い人なのか、悪い人なのか


 子供をかばって負傷(?)したボブ・サップを助けようとした私は、手酷い裏切りを受けるのだった。

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 うららかな日差しの中、私はどこかの大学のグラウンドを歩いていた。向こうでアメフト部員がトレーニングしている、野球部の掛け声が聞こえる、スコート姿の女子学生が走る。
 気持ちのよい陽気に気をよくしていたところ、目の前(といっても10メートルくらい前)に三歳ぐらいの男の子がチョコチョコ駆けてゆくのに気付いた。ほほえましい光景ではあるが、ふと凍りつく。金属バット?の甲高い音の直後、野球部の硬球が男の子に向かってゆくのが見えたから。私はとっさに対応できず、ただ息を呑む…
 次の瞬間、黒い影が幼児を覆った。
 サップだ。
 ボブ・サップが突然現れて、当たる寸前で男の子をかばい、腕でボールを受けた。カッコイイぞ!
 しかし数秒後、そのままドウッ、と地面に倒れるサップ。どうして!?腕から跳ね返ったボールが頭に当たったとか?焦りながらもその場から一番近くに居ると思われる私は、放っておく訳にもいかず、サップの元に駆けつける。ええと、こういう時はどうすれば良いんだっけ?とりあえず意識の有無と呼吸の確認?そういえば(夢じゃなくて、リアルで)某銀行の前で人が刺されている現場に出くわしたとき、警官の一人が被害者に「名前は言えるか?大丈夫だぞ、もう救急車が来るぞ」なんてずっと呼びかけていたっけ。あれは意識を途切れさせない為なのかしらん。…なんてことを思い出しながら、サップのそばにしゃがみ込む。
 トントン!軽く肩を叩いて「大丈夫ですか!?」…あーわたし英語とか分かんないようどうしよう「アーユーオーケー?」
 息はあるけど意識は無さげ。頭打ってるかもだし、下手に動かせない。「きゅ、救急車」携帯電話のボタンを叩くけれど、圏外だ。焦って携帯を振ってみるが、勿論びくともしない。
 そのうち、わらわらと異常に気付いた野次馬が集まり始めた。「誰か、救急車!救急車呼んで!」と私は必死に叫ぶが、皆、周りを取り囲んでゾンビみたいにユラユラしてるだけ。なんで協力してくれないの!
 映像(と言うかなんと言うか)は、上方から私とサップを俯瞰する視点*1。まさにセカチューの「たすけてください!」状態だ。
 

 と、そうこうするうち、サップが突然ムクリ!と上半身を起こしたのでびっくり。
 野次馬たちは“あ、なんだ、大丈夫じゃん”とばかりにわらわらと散っていくが、私は行きががり上そんな訳にも行かない。「だめだ、じっとしているほうがいい、しばらく気がつかなかったんだし頭打ってるかもしれないし救急車で病院にいこう」と呼びかけるが彼は聞かず。むりやり立ち上がるも、さすがにつらいのかまともに立てない、歩けない。仕方なく肩を貸す私。しかし体格上無理がある。私は普段「きゃ〜、おも〜い、持てなぁい」とか言ってるタイプじゃないけれど、とてもじゃないが支えられなくてヨロヨロだ。
 猶も病院行きを勧めるが、頑なに拒むサップ。“そこまでの事じゃない、そんなに言うならこの学校の保健室にでも連れて行け”とのことなので、一路保健室を目指すことに。しかしなんだかまあ、この学校の保健室は三階にあって不便なことこの上ないのだった。何度も膝をつき、擦り剥きながらも、サップと肩を組んで歩く私だったが、階段の踊り場でとうとう力尽きた。


 その時、肩にかかる重みが一気に無くなり、頭上から「ヒャーーーッホホホ!ウヒャゲヒーーーーッhダfヒャ」と気違いじみた笑い声が。あんなにヨロヨロしてたはずのサップが立ち上がり、私を小ばかにした様子で異様に嬉しそうな笑みを浮かべ、ヒャッホヒャッホと軽やかなステップで階段を駆け上がっていくのだった。
 ああ、騙された…。
 何がなんだか分からないけれど、とにかく騙されたのだということだけは理解しながら、私は呆然と、小躍りするサップを眺め続けた。  ――(はてな夢日記

*1:夢なので、自分の目線というか、カメラ割りというか…は一定していない