熱すぎるアパート

 私は引越しをしたようだ。今住んでいるアパートと間取りは似ているが、微妙に雰囲気が違う部屋に居る。窓を開けると、共同の庭がある。菜園があって、ひなたぼっこ用ロッキング・チェアが置いてある。おいおい、こんなんじゃろくにカーテン開けてくつろげないな…と考えていると、はた!と気が付いた。 
 「このアパートは数年前に夢で見たことがあるアパートだ。なぜ私はこんなところに住んでいるのだろう?」


 ここで、その「以前の夢」を一気に思い出し始めた。と言ってもこれも夢の中の出来事なので、正確に言うと「思い出した」というより「以前見た夢を再見している」のかもしれない。私は「全く同じストーリーの夢」を再見したり、「ストーリーこそ違うが世界観・設定等が同じで、以前夢の中で見た場所が再び出てくる」という経験がたまに、ある。


 その「以前見た夢で住む事になったアパート」は、周囲の環境がとても理想的で、苦労して探し出した引越し先だった。ただ、団地並に住民が多い割に、アパートの入居者同士のつながりが尋常じゃないほど強く、人見知りの激しい私には居たたまれない場所だった。1階には食堂があり、賄い食を食べに来るようなノリで朝昼晩と住民が集う。施設も充実しており、ジム・共同の庭・自由に使える大広間などがある。特にこの大広間がクセモノだ。夜な夜な住民たちが集まって宴会を開いている。学生が用も無いのに、活動日でもないのにサークルの部室に集まってくるノリだ。繰り返しになるが、かなりの人数なのに、だ。引っ越してきた際、隣りの部屋のお姉ちゃんに挨拶に行くと、“住民達に顔見せだー!”とばかりにこの宴会に連れてこられた。楽しくないわけでは、ない。が、ウザイ。家に帰ったら1人静かにくつろぎたいものではないか!何故「ウチに帰っても、ソトの世界」でなければならんのか。私はすぐに次の引越し先を検討し始めた。

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 年をとってから、夢がつまらなくなった気がする。世知辛いシガラミが夢にも反映されるのだろうか?中坊の頃見ていたような「人間をチャオズ(@ドラゴンボール)にしてしまう恐ろしい化け物寺で、父と共にカンフーで戦う」といった類の痛快アクションドリームが見たい。