幸せな時は短いけれど、とてもキラキラしている


 気の置けない友人たちとドライブだ。
 此処のイメージは何が基になっているのだろう。モン・サン・ミッシェル千と千尋の神隠しか?周りは見渡す限りの海。遠くに浮かぶ緑の島。そして、島へと続く長い橋は満ち潮なのか少し水の中に沈んでいて、走る場所によっては左右のタイヤが波を蹴散らして、水芸の如く派手な水しぶきを上げる。海はビックリするほど蒼く、空はどこまでも深い。


 …と、上記がはっきりと思い出せるワンシーンで、あとはおぼろげ。およそのあらすじを記載しておく。
 友坂君(仮名)と私は幾つものエピソードで心を通い合わせ、恋仲となる。しかし不幸な行き違いにより、いつしか別れの日が訪れるのだった…という他愛ないストーリーで、上記のドライブは行き違いが起こる前の幸福なシーンである。


 ぼんやりとしか覚えていない夢は、ここに書き残すか否かいつも悩みどころだ(何をどうやって書き表そうか、困る場合が多いので)。ただ、夢に知人が出てくる割合は多くないので、友人知人の夢ならば大抵「折角だから書いとくか」という決断をする事になる。知人と言っても、夢に出てくる事とその人との親しさの度合いに関連性はない。むしろ、さっぱり交流が無い人間が出てくることも多い。上記の友坂君も、仮名にしておいたら誰のことか自分でも忘れてしまいそうなぐらいだが、小中学校の同級生だ。10年ひと昔どころじゃなく会っていないし、当時親しかった訳でもない。人知れず彼に恋心を抱いていたこともない。彼にしても「貴方の夢を見た」などと伝えようものなら気味悪がるだろう。脳のしわざって不思議だ。
 彼と親しくはないが一応心当たりを記しておくと、数年に一度、友人との思い出話のなかで彼の名前が出てくる。不謹慎で申し訳ないが、中学卒業後、全国指名手配犯のポスターの中に友坂君にそっくりな男性を発見して皆でギャーギャー騒いだことが原因である(むろん彼と犯人は無関係だ!)。現在は逮捕されたのか時効なのか、一覧から見当たらなくなったが。それにしても友坂君てば、老け顔だったんだなあ…。似顔絵を書いたらうっかり似すぎたので、さすがに今回はdeleteする。
 そうは言っても、彼のことはそろそろ話題にもならなくなりそうだ。昨年、友人と「ほら、アレ誰だっけ?“と”…から始まる人。友…?友ナントカ?名前忘れちゃったけど指名手配犯に似てる人!」「えっ、分かんない、なにソレ?」「うそ!理沙ちゃん(仮名)と一緒に見つけたんじゃんあのポスター!ほら、久我ちゃん(仮名)も一緒に!」「えーっ、思い出せないよ」という会話が交わされたから。私も含めて、皆、どんどん年を取る。   ――(はてな夢日記