チキンをめぐって犬と戦う


 私の住む街の最寄り駅のすぐ側に、パン屋がある。こう言っては何だが、さして美味しくない。しかし駅そばという立地から、つい目に入り余計なパンを買ってしまう。そのパン屋には足付きのチキン揚げが売っている。さして美味しくないが、チキン好きとしては見るとつい買ってしまう。
 そのチキンを買ってプラプラ歩いていると、放し飼いのトイプードルに出会った。色はアコリット、カットはテディベア型、トイプードルとしては私の好みど真ん中。理想のタイプだ。…超カワイイ…。
 しかし彼(彼女?)は、私に向かってあからさまに戦闘体制を取っている。私の手の内のチキンが目当てらしい。食べ物を持っていると問答無用で襲ってくる、奈良や宮島の鹿の様な状態だ。私は(基本的には)犬も猫も好きで、人間には滅多と愛想を振り向かなくても、いつも犬猫にはちょっとした笑顔・好意のオーラを振り撒いているつもりである。そのせいか、見知らぬ犬から突然に悪意を向けられる事はあまり無い。だからとても悲しい気分になったが、唸り声がかなり本気テイストを醸し出してきたので、さすがに呑気に悲しんでもおられず少し身構えた。
 間髪置かず、犬は飛び掛ってきた。ギリギリかわせたが、すぐに向こうも態勢を整えなおした。チキンを諦めて犬に放り投げれば良いのだが、これは私のチキンなのだ。諦める訳にはいかない。くれてやるのは勿体ないし、骨付き肉はペットによろしくないと言うではないか。第一友好的な犬であればまだ考えてやる余地もあったが、このような親しくもない行きずりの犬にやるエサは無い。たとえ彼が友好的な犬であったとしても、いくら犬好きとは言え食べ物には意地汚い私が、200円弱もするチキンを自分の飼い犬以外にくれてやる事は無いだろう。
 すぐに第2便がやってきた。今度はかわせない。チキンを持つ右手の腕部分にがぶりときた。前後の足を巧みに使い、腕にぶら下がっている。ただ、噛み具合がまだ本気ではなく、甘噛みというと言い過ぎだが、決定的な攻撃ではなかった。最終警告といったところか。次に飛び掛られた時は、もう容赦はないだろう…次が勝負だ。

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というところで終わり さしてストーリー無い夢を雰囲気だけは再現しようとすると長文になってしまい疲れた
よく考えたら「犬に襲われた」で終了じゃん