兄貴と巫女と横山先生


 夢の中での私は、年の頃二十前後の純朴げな青年だ。そして、隣に居るのは、優しく頼れるマッチョな兄貴。
 二人は薄暗いバーのカウンターに座り、酒を飲んでいる。
 二人の語らいの内容は、邪馬台国論争について。
 静かにカクテルを注ぐ無口なバーテンは、巫女さんだ。

 ふとした拍子に、巫女さんが静かな笑みを浮かべ、二人の会話に割って入った。
 「…横山先生が聞いたらきっと、お怒りになるわ…」
 その台詞を聞きとがめた我々は、それはどういう意味かと問い詰めるが、巫女は不敵に笑いながら切り返す。 「ホニャララホニャララは、ドーノコーノよ(←内容忘れた)。」
 巫女が一体何て台詞を言ったのかは覚えていないのだが、その台詞(横山先生の説?)は、たった一言でこれまでの我々の邪馬台国論争に対する見解を打ち砕く、斬新な言葉であった。今までの認識が音を立てて崩れ、足元がおぼつかない様なぐにゃりとした不安を覚えると同時に、四方に何も存在しないかのような開放感を感じた。
 そして巫女がバーの入り口を見て、「あっ」と小声を発した。私は巫女につられて後ろに振り向き、入り口の方に目を向ける。
 カランカラン…ドアが音を立てる。誰かが入ってくる。顔は見えない。が、私にはわかる。
 「横山先生だ!!」


 そんな夢。横山先生って誰だよ。